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ポーラ美術館展

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先日、渋谷Bunkamuraで開催されているポーラ美術館展に行ってきた。

ポーラ美術館は箱根にあり、ポーラグループのオーナーが収集したコレクション
約9500点が収蔵されている。中心は印象派などの西洋絵画400点。
このうち85点が渋谷Bunkamuraに展示された。

ドガ、ルノワール、モネ、セザンヌなどの絵画が多数展示されていたが、
中でも、ルノワールの描く風景画、モネの描く水面の表現などが印象的だった。

モネの絵画は15点展示され、見応えがあった。
ものを立体ではなく光の集合として捉え、影や輪郭を描かない。
モネは1880年代に静かな場所に移り住み、自宅の敷地に睡蓮の池を作った。
以降人物画を描くことなく、十数年に渡り光の表現と向き合い続けた。
とくに晩年の1900年前後に描かれたものは素晴らしく、一枚一枚が真実を
描き出そうとする試みに充ちていた。

ルノワールの絵画は人物画が中心だった。
ところでルノワールはまさに人物画家だと思う。
たとえたくさんの人が描かれている絵でも、誰かを見ているような感覚を覚えるし、
「この人を描きたい」という強い気持ちを感じる。実際、描かれているとも思う。
しかし、展示会で飾られている中で最も惹かれたのは、早朝の並木道を描いた
風景画だった。静物画や風景画に見るルノワールの色彩感覚は素晴らしいと思う。
人物を描くときのタッチはある意味抽象的だけど、静物画や風景画は極めて写実的。
ものの本質を捉えてキャンバスへ映し出す力に凄いものを感じる。

ゴッホの絵が3点飾られている中で、「草むら」という作品で目が止まった。
緑の線だけで構成されている絵だったが、ただの草に何かを感じ取ってそれを
描き出そうとする画家の真摯で純粋な感性を感じた。

今回一番の驚きを感じたのはボナールの作品だった。
ボナールは浴槽の裸婦を描いた作品が有名で、室内に差し込む淡い光の表現が
とても素晴らしい。この手の作品も一点あり、やはり素晴らしかったが、衝撃を
受けたのは、大きなキャンバスに屏風のような続き絵として描かれた「山羊と遊ぶ
子供たち」と「りんごみつ」の2作品、そしてやはり大きなキャンバスに描かれた
もう一作品だった。これまでボナールは現実に存在する静かな一瞬を切り取る画家
だと思っていたが、これらの作品は幻想的な世界を描いていて、瞬間ではなく、
長い時間の流れやストーリーを感じた。そして何よりも、頭の中でぐるぐると
回りつづけて抜け出せなくなってしまったような、どこか暗く不安定な要素を
含んでいた。この世界に引き込まれてしまいそうな感覚に襲われ、ボナールの
新しい魅力を感じた。

1点だけだったが、大好きなルドンの作品も展示されていた。
ルドンは花瓶を題材とした絵をたくさん描いているが、その色彩の鮮やかさ、
奥深い美しさが素晴らしい。僕は、ルドンの作品の多くに4次元的な空間の魅力を
感じる。目の前に描かれている空間の中で、どこが境目かはわからないけれど、
どこからか、別の空間に飛んでしまっているような感じ。フランシス・ベーコンの
作品にも感じるこの感覚はとても恐ろしく、一度入り込んでしまったら二度と戻る
ことのできない恐怖を感じるが、そこに、この画家の圧倒的に研ぎ澄まされた、
まるで現実離れした感性を感じる。そういう意味で、ルドンという画家は凄い
画家だと思う。


Bunkamuraのサイトに行くと、ポーラ美術館展の出品リストや、
ビジュアルツアーと題した代表作の動画を見ることができるので、
興味のある方は一度見てみてください。2/26までの開催です。

>> Bunkamura サ・ミュージアム

箱根のポーラ美術館に行くのも良いのではないかと思うので、
Bunkamuraの会期が終了して絵が戻ったら行ってみようと思います。

>> ポーラ美術館

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